第4章 私の色
「はい、描いてみ。」
「え!?無理ですよ!上手く描けませんし…。」
「俺は、一度も自分が上手いだなんて
思ったことはない。
ただ、描きたいものを描いてる。」
「……。」
「上手い下手ってそんなに重要なのか?
俺は、そんなことどうでもいい。
赤原 藍の絵が見たいだけだ。」
『私の…赤原 藍の…絵。』
「…分かりました。」
「そうこなくっちゃ。まず、下書きをしよう。
俺が手本を見せるから、その後描いて。」
「はい!」
先輩は自分のバックから筆箱を取り出した。
どうやら鉛筆専用のようだ。
中には色々な種類の鉛筆が入っていた。
「随分、沢山持ってるんですねり」
「ん?ああ、絵を描く時には必要なことだろ。
多過ぎても少過ぎても駄目だけどな。」
「なるほど。」
そして、先輩は描き始めた。
何の迷いもな無く、止まることも無く
描き進める。まるで頭の中で、次々と
描く順番が浮かんでいるかのようだ。