第3章 夜伽/犬夜叉/殺生丸/裏(発情期妄想)/妖怪夢主
「っ殺生丸さま…、っ」
欲に駆られた獣とは思えぬくらい、殺生丸は少しも崩れてはいなかった。美しい瞳だけが 恍惚と燃えているようだった。
「お種は、外に……っ」
「冷める事をほざくな」
殺生丸はそう言い捨てる。繭を逃さぬよう柔らかい身体を木の幹へ押し付けた。
「やっ…いけません!」
「貴様の指図は受けぬ」
「これ以上は禁忌にございますっ…我等一族は本来、婚姻を結びしお方とのみ通ずることを許されっ…」
「黙れ」
殺生丸は動きを止める。
半分程度埋まった自身をゆっくり進め、繭の奥に擦りつけた。
身を焦がす快楽が止めば繭は少しの自由を得る。とはいえ、逃げることは出来そうもなかった。自分でもはっきり感じる程、意思とは別軸に充血する胎内は勝手に殺生丸を求めていた。
殺生丸の手が伸びる。異様に白い指先は繭の頬にかかった。紅く染まる顔を自身の方へ引き 触れる気もないまま真っ直ぐ唇を近付けた。
「わからぬか」
情欲に駆られた熱い息が何度かぶつかり合う。探り合うこの間すら、惜しいくらいだ。
「貴様の雌はこんなにも悦びで溢れているというのに」
「いやっ」
「咥え込んで離さぬ」
「お止め下さ、……っ」
繭は瞳を細くする、目尻には小さな雫が浮かんでいた。涙は次第に粒を増し、頬をゆっくり伝ってゆく。
下手な涙は屈辱と羞恥の現れだろうか。殺生丸はそれを静かに睨んでいた。
「繭」
はっきりと名を呼んだ。惚けた瞳を覗き込めば 一度だけ、繭は切なげなまばたきを挟む。涙はまたも、何かを惜しむようゆるりと頬を流れていた。
憂いな表情とは相まって繭の身体は実に正直だ。止めどなく滴る愛液がものを包み、熱い肉は緩急を混ぜながら先端部を握り締めてくる。
早く。もっと深く、もっと強く。
それは射精を促すようで、こうも煽られては殺生丸とて限界が近い。
気が付けば、甘い弾力を秘める薄桃色の唇を舌先でしっとり舐め上げていた。
「以前に嘆いていたな。生きた証は何なのか、と」
「……………………」
「この殺生丸の子を孕んでみるか」
「…………………………っ、」