第2章 戦国武将
そうこうしていると
開いている障子の向こうから
こっちに向かって足音が聞こえてくる。
それも…
ー 2人じゃないな…
「 家康だけと思ったんだが、悪い…みんな来ちまった。」
「 …政宗さん、ちょっと診たいんでどいてくれます?」
そう言って、眼帯をした人と家康と呼ばれる人が
はじめに入ってくるやいなや、
どんどんと人が部屋に入ってきた。
身体の隅々まで診察され、
新しい包帯のようなものを巻かれ
そして…
「 声は…出ないよね?」
そう聞かれ、静かに頷いた。
「 …話すのはまだ無理です。立つまでにも時間がかかるかと思いますが…そっちは日にち薬でしょう。」
そう言って、用意された桶の水で
手を洗いながら部屋にぎゅうぎゅう詰めに
座っている男達に伝える。
ー さっきから聞いてると聞いたことある名前ばっかだな…
何処ぞのものかもわからない俺の前で
平気であれよこれよと話をし出す男達。
家康だの信長様だの政宗さんだの、
どう考えたって戦国武将の名前だ。
こうも違和感なく会話し、違和感なく着物を着ている。
それに…
ハッとして身体中を見る。
ー こんな治療の仕方なんて…ない。
そう、確信に変わった瞬間。
ー あぁ…俺はやっぱりタイムスリップしたのか、
聞きたいことがあっても
声が思うように出せない。
そしてそれは向こう側も同様だろう…
俺が話せないと聞いて険しそうな顔をしている。