第6章 未来人
「 …昨日ねれなかったの?」
未だに眠いのか意識が
はっきりしないあらたに話しかける。
タイムスリップしたと言うことで
環境の変化があらたの中で
不眠に繋がっているのでは無いかと思っている。
だが…普段のあらたの表情から
何かを読み取ることがとても難しい。
『 …普段から夜はあまり寝れない。』
そう言うと立ち上がり伸びをする。
目が冴えてきたのか、いつものトーンで
話し出す。
『 タイムスリップしたからじゃない。
元々すぐには眠れないんだ…気にするな。』
ー…何で、
…あらたは時に人の考えている事が
わかったかのような会話をする。
じっと顔を見ているわけでもない
現に背中を向けたままなのに…
「…別に気にしてない。」
『 …ん。』
背を向けたままそう答えると
あらたはそのまま歩き出した。
「…どこ行くの?」
『 喉が渇いた。』
手をひらひらと振って
水汲み場まで歩いて行くあらたの背中を
見届けて自分も部屋へと戻ったのだった。