第4章 これから
『 この時代にも作務衣はあるのか…?』
僧侶やなんかが着ている服装を思い出す。
「 作務衣…?いや、聞いたことないな。」
『 …そうか、何て言えば伝わるか…股引?
いや、違うか…あぁ言うのはこの時代にないのか…』
そう俺が独り言のように
ブツブツ呟いていると家康が見兼ねて話し出す。
「 股引ならあらたの時代のものと似ているかもしれないよ。」
「 そう言えば膝下が密着しているのも似てるが…
普通は職人が着たり…まぁ、着物が慣れるまでは仕方ねぇか。」
「 ただ大名に見られたら…あらたの立場が… 」
「 まあ、その辺は信長様や秀吉がどうにかするだろ。」
ー 身分か…
やはり服装で身分の差が出ているのだと
二人の会話と空気で理解が出来た。
ー 世話になる以上は
気をつけなければならないな…
そんなこんなで話は纏まり、
あれよこれよと採寸され
何着かだけは早めに仕立ててくれるようだ。
「 じゃ、よろしく頼んだ。」
「 …あ、あの!」
主人と何人かの店の者が
頭を下げて見送る中で
お茶汲みの娘が声を上げる。
「 …お小夜!! す、すいません!!」
「 いや…どうした?…こいつに用か?」
ニヤニヤした顔で政宗が
あらたを指差す。
女の子は顔を真っ赤にしながら
小走りで俺の目の前へ来ると
「 あ、あの…また、是非来て下さいっ!」
と言ってまた頭を下げた。