第4章 これから
それを横でニヤニヤしながら見る政宗に
呆れ顔の家康。
『 あー…じゃあ、仕立てた着物も俺が直接取りに来る。』
それだけ告げてその子から離れた。
いいのか?それでだけでと言いたそうな顔で
見てくる政宗に何が?と言った顔で返す。
『 …用は済んだんだ。次へ行こう。』
強制的に終わらせて
次の店へと向かう。
「 いつもだったら張り子に
着物も任せるんだが…
城下へ行くついでに頼んでこいと
信長様が言ってたからな…
次、頼むときは張り子に頼むといい。」
前を歩く政宗がこの後
どこに行くかなどを話す。
『 あれだけあれば充分だ…。』
「 …てか、あらたの時代は
戦もなかったんでしょ?
…刀も持ったことないんだよね?
だったら武術も身につけないと
生きていけないんじゃない?すぐ死んじゃいそうだし。」
同じ歩調で家康が俺を見上げて話す。
ー 徳川家康は俺より小さいのか…
「 はぁ…、」
じっと見つめて話さない俺に
嫌気が指したのか怒ったのか
目線を逸らされる。
「 あらたって本当に読めない。」
『 よく言われる…』
「 …くっくっ! 武術の件も信長様は
わかってるだろうから、帰ったら話してみてやるよ。」
『 あぁ、頼む。』
必要な物や必要な事を
三人で話しながら店を回る。
「 そろそろ帰るか、必要最低限のものは揃えたし。」
『 着物は出来た頃に行ってみる。』
「 あらた…道覚えてるの?」
『 …………、』
「 …あらた?」
家康の声も聞こえないぐらい
その一点に集中する。
路地を一歩曲がったところに
ふと見覚えのある姿が
遠くで見えた気がした。
ー…いや…そんなわけ…
「 …おい、大丈夫か?」
『 …あぁ、道は一回通れば記憶する。』
「「 …え?」」
この時はまだ不確かで
そして不安定なままで
帰れるのか
一生このままなのか
それさえもわからず
ただ生きることも疲れた俺に
生きろと言わんばかりの生活が
目の前にボンっと置かれた。
神の仕業か…いや仏?
この先に起きる事は
誰もわからない。