第4章 これから
「…それより、あらたは好きな色とかあるわけ?」
家康が出されたお茶を飲みながら
そんな事はさて置きといった感じで
じっとこちらを見て話す。
『 …いや、特にない。』
「 だろうと思ったよ。
食も無頓着なやつが服にこだわりなんてねぇよな。」
『 とにかく動きやすくて楽なら何でもいい。』
そう一言告げると
家康も政宗も大きなため息をついた。
そうこうしていると
奥からかなりの量の反物を持った
主人が戻ってくる。
「 お待たせしてしまって申し訳ない…
いくつかお持ち致しましたが、
ご希望があればまた違うのをお持ちいたします。」
そういうと
一つを広げ、俺の肩に乗せる。
「 …お、いいじゃねえか。」
「 でもちょっと派手なんじゃないです?」
「 これぐらい豪快じゃないと。」
「 もう一つはこちらに。」
次々と色味をみて
あーだこーだと話し出す三人に
当の本人は気にもせずお茶をすする。
ー これはまた時間がかかりそうだな…
「 あらた、お前はどっちがいいんだ?」
ぼーっとしていると
政宗に声をかけられる。
政宗が持つ反物は青々と煌びやかな柄
対して…
家康が持つ反物は淡い色味に辛子色の刺繍が施される。
どちらも自分好みだとわかる反物だ。
ー 自分達の趣味だな…それにどう見たって…
『 そんな高価なもの俺には… 』
かなりの高価な物だと
無知の俺にもわかるような
そんなものばかりが並ぶ。
「 あらた…お前には安土城に住む身として、
それなりの格好はしてもらう。…必要な事もあるからな。普段は好きにしてもらって構わねぇ。」