第4章 これから
「 まぁ…あらたがいた時代とは
全然違うだろうが、ここ安土もかなり栄えてきている。」
『 ……へえ、凄いな。』
現代とは違い、殺風景な街並みが
広がっているのかと想像していたが、
思ったよりも人が多く、賑わっているのが
肌でも感じとれる。
「 呉服屋はそこだ。」
政宗が指差すほうへと歩みを進めると
屋根の上には流れ字で
店の名前らしきものが書かれ、
赤いのれんが掛かっている。
ー やっぱり読めるわけないか…
その赤いのれんをくぐるとそこの主人が
笑顔で出迎える。
「 これはこれは…政宗様に家康様、
今日はどう言ったご用で?」
自分の両手を軽く握りながら
腰を低くして尋ねる姿は
まさにテレビの時代劇に出てきたままである。
「 今日はこいつの服をいくつか仕立てて欲しいんだ。」
そんな腰を低くして話す主人に
政宗が用件を伝える。
「 それはそれは…では、
いくつか反物をお持ち致しますので
しばしお茶でも飲みながらお待ち下さい。」
そう言うといそいそと奥へ消えて行く。
入れ違いに別の者が会釈をして
入ってくる。
店に上がらせてもらった俺達の前に
次々とお茶菓子が置かれる。
ー これが普通の接客なのか…それとも…
ふと、顔を上げると
ずっとか若いだろう女の子が
俺の前に来た。
ー…この時代に学業なんてないのか…
そんな事が脳裏をよぎる。
この時代に若い子が働くのは
当たり前なのだとこの目で見ることになるとは…
『 …ありがとう。』
「…あ、いえ…っ! 」
お茶を配る女の子にお礼を言うと
顔を真っ赤にして店の奥へと行ってしまった。
『 …?』
「 …くっくっ…お前も罪な男だな… 」
「 あらたって…意外と無防備。」
何やら面白いものを見たかのように
笑い出す政宗に唖然とする家康。
『 当たり前のことを言っただけだが?』
何がなんだかと言う感じである。