第1章 500年前
キョロキョロと辺りを見回していると自分の居る位置から少し離れた柱にもたれかかるようにして倒れている人が目に映る。
ー 誰かいるのか…?
柱や襖が焼けて倒れているのを避けながら、そちらに向かって走る。ジリジリと体が焼けるような…そんな熱さが体を覆う。
『 …くっ、熱…。』
何とか側まで辿り着いて
その姿を見たとき、唖然とする。
ー 何でこんな格好…いや、そんな事より死んでるのか…?
それは自分の時代ではありえない、
甲冑を着た男の姿だったからだ。
目を瞑ったままでいるその男の手首をそっと掴み、脈があるか確認する。
トクトクと規則正しい鼓動が自分の指先に伝わる。
口元に耳を当てれば息も何とかあった。
ー 生きてる…煙を吸って意識がないのか?
頬をパチパチと軽く叩く…が、
やはり意識がないようだ。
ー くっそ、流石に置き去りには出来ない…
此処がどこかもわからない。
この倒れている人も、格好も何もかも理解できないが…だからと言って見捨てるわけにはいかなかった。
『 スーっ… 』
軽く袖越しから息を吸い、
口と鼻を塞いでいた手を離し、急いで外せれるだけの甲冑を外す。