第3章 御対面
『 …こんな時間がゆっくりなのは久しぶりな気がする。』
そう独り言の様に呟くと
「 あらた様は此処に来る前は忙しい日々を?」
目を合わせるわけでもなく
同じように庭先を見ている三成が問う。
『 …そうだな、逝き急いでるよ。』
「 …え?」
『 いや…それより、身体の調子ももう良くなった。声もこの通りだ。聞きたいことがあるんだろ?』
あれから入れ替わり立ち代り
人が出入りするようになったのは
聞きたいことがあったからだと
ー なのに聞かないのは…?
「 聞きたいことは沢山あります。そろそろ信長様にお会いして、どう言う状況だったのかも確認を取らなければなりません。ですが… 」
そう言って庭先に向けていた目線が
こちらに向くと真剣な面持ちで続ける。
「 お話を聞かなくても、信長様のお命を救って頂いたのは事実です。皆様もそう思っています。」
『 …聞きたいことがあるなら答える。』
「 はい…では、秀吉様に評定の間に皆様を呼んでいただくようお伝えしてきます。後ほど、また伺います。」