第1章 面影 〜サスケ〜
それから、修行が始まった。
まず、二人でトレーニング。それから、手裏剣投げ。クナイ投げ。組手。
少女の腕前はどれを取っても完璧の一言で、サスケは姉がいかに超人だったかを思い出した。
サスケに比べて非力で、身長も小さいにも関わらず、相手の動きを読むのが、とにかく上手い。そして、素早い。
何度も少女のペースに乗せられて疲れてしまい、サスケは自分もまだまだだな、と思った。
「……うーん、疲れたー。ちょっと暗くなってきたし……そろそろお買い物に行こうか、サスケ?」
少女がグッと伸びをして、サスケを振り返った。
「……うん……そうだね。」
サスケがそれに頷き、二人は商店街に向かった。
その後、夕飯の買い物をし、二人は家に帰って来ていた。
サスケが風呂に入っている間に少女が手早く料理をし、サスケが風呂から上がってしばらくして、夕食になった。
「……はい、いただきます。」
「……いただきます。」
少女とサスケは日々の糧に感謝し、食事に手を付けた。
「……おいしい。」
主菜に箸をつけてすぐ、サスケが感想を漏らした。
誰かに食事を作ってもらえる、そのありがたさと温かさをいやというほど知っているサスケにとって、
他人に、しかも失くしたはずの少女にそれをしてもらえることは涙が出るほど幸せなことだったが、
また心配をかけてしまうのはいやだったので、涙の方はなんとか堪えた。
「そう?よかった。」
サスケのいい感想を聞いて、少女は嬉しそうに笑う。
無邪気に笑う彼女を見たサスケは、こみ上げそうになる愛しさを必死に押さえつけた。
それが溢れてしまったとき……自分が何を始めるのか、あまり考えたくなかったから。