第1章 面影 〜サスケ〜
しばらくすると予鈴が鳴ったので、二人は教室に戻り、午後の授業を受けた。
やがてそれが終わり、放課後になった。
「ルナねーちゃん、じゃあな!また明日だってばよ!……あ、サスケも。」
「うん、じゃあね、ナルト君。また明日。」
少女がナルトに手を振り返し、可愛らしい笑みを返す。
「サスケ君、ルナお姉様、さようなら!」
「さようならー!」
「うん、バイバイ、サクラちゃんといのちゃん。」
いつもサスケにかまいたがる二人組に、少女はふふっと笑いかけた。
顔を合わせる度、誰かが少女に挨拶をし、少女はそれに返事をする。
朝と同じ、それの繰り返しで、サスケはなんだか少し、みんなに姉を取られたような気がしていた。
それがやきもちだと気がつくのは、もう少し後になりそうだ。
校舎を出て、やっと二人きりになると、少女とサスケは放課後の相談をした。
「……それで、サスケ。放課後はどうしようか?修行する?それともお勉強?
五時くらいには、晩御飯のお買い物に行きたいんだけど…………」
「……修行したいな。姉さんと一緒に。演習場に行こうよ。」
「うん、いいよ。行こうか。」
少女はサスケの言葉に頷くと、小さな手を差し出した。
サスケはその昔、姉が同じことをしていたのを思い出し、その手を取った。
二人はそのまま、飛雷神の術で演習場に移動した。
「……うーん、ここはやっぱりいいなぁ。」
少女が湖の前に立ち、伸びをする。
「……そうだね。姉さん、覚えてる?……ここで昔、鳳仙花の術教えてくれたの……」
サスケが何気なく切り出す。
「……うん、覚えてるよ。懐かしいね。あの頃のサスケ、可愛かったなぁ。あ、勿論、今も好きだよ?」
少女はそう言うと、サスケの方を向いてにっこりと笑った。