第2章 出会い
LIVEが無事に終わって、俺は神谷さんと楽屋に挨拶に行った。
「伽菜ー、入るよ。」
「どうぞー!」
中から聞こえてくるのはさっきまで会場中に響き渡っていた声。
「神谷さん!!見に来てくれてありがとうございます!」
「お前俺に手振りすぎだって。」
「だって嬉しかったんですよ!そりゃ手も振ります!」
「あははっ、まぁ良いライブだったと思うよ。」
「やったー!神谷さんに褒めてもらえるなんて嬉しいです!」
…これがさっきまでステージに立ってた人と同一人物?
それが俺の1番の感想だった。
さっきはあんなにキラキラしていてかっこよかったのに、今では神谷さんに構ってもらえて嬉しそうな1人の女の子にしか見えない。
「そうそう。江口は今日忙しかったみたいで、代わりに自由のこと呼んだんだ。」
「入野自由です。はじめまして。」
「は、はじめまして、高梨伽菜です…。」
少し前の神谷さんに対する態度とは裏腹に、俺と話した途端一気に声が小さくなって俯いてしまった。
お、俺、何かしたっけ…?
「悪い、コイツすごい人見知りなんだよ。」
「すみません…、あの、緊張してしまって…。」
「いや、全然大丈夫ですよ。」
「私、入野さんに憧れてたんです。演技も歌もすごくお上手で…いつかお会い出来たらいいなと思ってて。」
「そうなんですか?そう言っていただけて嬉しいです。」
「多分自由と伽菜は気が合うと思うしさ、仲良くしなよ。」
「こんな人間ですがもし良かったら仲良くしてください…!」
「あはは、こちらこそ!」
そう言って俺が手を差し出すと、高梨さんは遠慮気味に手を握ってくれた。
俺がそんな様子を見て思わず吹き出すと、高梨さんは一気に緊張が溶けたようにニコッと笑った。
…やばいな。
この人、めっちゃ可愛い。