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君はヒロイン。

第2章 出会い


入野自由side

火曜日。
仕事を終わらせ、俺は神谷さんとタクシーに乗ってライブ会場に向かっていた。

高梨伽菜さん…。どんな人なんだろう。
名前は何度も耳にするし、演技力も歌唱力も認める。
でも、こんなに短期間であれだけ人気が出るってことは他に何か他人には真似出来ない魅力があるんじゃないかって思ってる。
よく一般のニュースでも取り上げられてるし、芸能人のファンも多いって聞く。

そんな人の歌を生で聴けば、なにか得られる気がするんだ。

「自由、着いたよ。」

「あ、はい。」

目の前にあるのは埼玉スーパーアリーナ。
タクシーを降りて関係者入口から中へ入る。
もう時間がギリギリだから始まる前に会うのは難しそうだ。

「このまま中入っちゃおうか。」
「そうですね。」

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会場内は既に色とりどりのペンライトの光で埋め尽くされていた。

こんなに大きな会場を1人で埋められるなんて…純粋に尊敬する。

俺と神谷さんが席に着くのとほぼ同時に会場が暗くなり、客席から大きな歓声が湧き上がった。

ここにいる全員の視線がステージに集まる。

曲のイントロが流れ始めると、彼女はゴンドラに乗ってステージの上から登場した。

「みんなー!!盛り上がっていきましょう!!」

その一声で会場の熱気はさらにヒートアップする。

「えっ、上から…!?」

「伽菜のLIVEはいつも違った演出で楽しませてくれる。伽菜自身も、どうしたらファンが喜んでくれるかいつも考えてるからね。」

「すげぇ…。」

そこからはもう言葉が出ないほど彼女に圧倒され続けた。

あんなに小さい体のどこからあれだけの声量が出るんだろう。
どんなに走り回って踊っても、全く声がブレないのはなんでだろう。

彼女は小さい体でこの大きな会場を駆け巡る。
ファン1人1人と目を合わせるようにずっと客席を見ている。
普通ならモニターで歌詞を確認するのに、一切それはしない。

可愛く明るい振り付けで踊ったと思えば、妖艶にクールに歌う。
もう彼女から目が離せなかった。
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