第18章 近過ぎたキミ③(及川徹)⚠兄✕妹R18⚠
〈まだなにか御用ですか?!〉
聞こえてきたのは
待ちに待った
声なのに
明らかにオレ宛じゃない
行方が分からないセリフだった
「なに?誰と間違ってるのかな?」
あからさまに低くなってしまう声を
割増に低くしていく
〈お兄ちゃん!?!〉
姫凪の声。
お兄ちゃん?
そうだよ。
間違ってないよ。
でも。
電話越しだけど
二人だけじゃないか。
違うのかい?
「なに?」
誰かと一緒なのかい?
オレの声に慌てて
謝る姫凪
ごめん、なんか聞きたくないよ
さっき言葉の行方を知りたい
「誰かと逢ってたの?」
〈あ、会ったって言うか、ね?
えっと…〉
焦ってるのはオレの声に?
それとも
オレに言えない事に?
「姫凪…応えなよ」
早く否定してよ?
ねぇ?
キミは
オレの、でしょ?
この冷えた心を
姫凪の声で温めてよ
祈る気持ちで
返事を待った
のに……。