第75章 HIDE AND SEEK（影山飛雄）

良くなくても
もう良い…
こんな苦しいのに
これ以上…傷付きたくないよ…

「我慢したら
苦しくなくなんの？
傷付かないの？」

日向の声が心を揺らす

「最後まで足掻いたら
何か変わるかもしんないのに
諦める意味が分かんない」

分かってる
でも…

揺れる心に必死に閉ざそうとする私の背中に

「諦めた方が楽なら
そっち選べば良いんじゃナイ？」

冷めた声が降りかかる

『月島…くん？』

見上げた先には
いつもの薄い表情があって

「おい、月島！
そんなスグに諦めるとか言うなよ！
ガムシャラに頑張れば…」

「ガムシャラとかウザいよ、キミ。
無駄な事して傷付いたら
バカみたいじゃん」

ムキになる日向を一蹴する

「バカで良いだろ！
それに無駄なんて
まだ決まってない！」

水と油
月と太陽の様な
二つの意見の間

どっちの声も
正解に聞こえる

私の正解は…

チラチラと浮かぶ
影山くんの顔

逢いたいよ、本当は
今すぐにでも…