第18章 近過ぎたキミ③(及川徹)⚠兄✕妹R18⚠
「じゃあ、しなくて良いじゃん
気をつけなきゃ本命に
誤解されるよ?」
呆れた声を上げると
「出逢い大切じゃん?
いつか本命に出逢うために
労力を惜しまないだけだよ俺は」
遠くを見ながら
小さく呟いて
「って事で!
ヨロシクな!主将!」
爽やかに笑ってオレの肩を叩き
去って行く
「…なるほどねー…って!
マッキー!!
嫌だからね!
オレはパーー……ス」
オレの声は小さい背中に
届く事がないまま
虚しく朝の青城に響いた
その後も休み時間の度に
どこかで誰かに
声をかけられる
生徒会の人と部費の話だったり
溝口くんに呼び出されて
次の練習試合の相手の事を
話したり
いつもなら
"及川さん人気者ー!"って
笑えるんだけど
「及川ー…うぉ!
なんの顔だよ、それ…」
「次は何かな?
及川さんは疲れているんだよ?
今、合コンの話とかされたら
絶対零度だよ、マッキー」
笑えないんだよね。
姫凪ロスで死ぬよ?
ガチで。
「昼飯だよ
さっさとしろやグズ川」
「岩ちゃんヒドイ!
って!もうお昼?!
ごめん!後で行くから
先に食べてて
オレちょっと電話してくる!」
蹴られたお尻を擦りながら
人気のない所へ足を運び
姫凪に電話を掛けた
恋しくて恋しくて
楽しみにしてたんだ
キミの声を聞くのを。
それなのに…。