第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
チッ…。
もう終わった事だ。
忘れろ、俺はもう
王様なんかじゃない
パシンと頬を叩き
着替えを済まして
教室に向かう
職員室の前を通過しようとした
その時
「…布施…?」
見た事ある後ろ姿に足が止まる
その背中は先生に連れられ
階段を昇って行く
「…んな、わけねぇか。
烏野にくるわけねぇよ…」
青城の記憶を思い出した事と
逢いた過ぎて幻覚でも見たのかと
苦笑いを零して
俺も階段を昇る
長い授業時間が終わり
荷物を片付け
教室を出る
「ぅわ!影山!?
今日こそ負けねぇ!」
「はぁ?!」
バッタリ出くわした日向と
いつも通り競いながら
体育館へ向かう…はずだった
4組から出て来た
小さな影を見るまでは。
「布施さん、一緒に帰ろうよ
荷物大変でしょ?
家どっちの方?」
「布施さんじゃ
余所余所しいから
姫凪ちゃんって呼んで良い?」
「ねぇねぇ、彼氏とか居るの?!」