第75章 HIDE AND SEEK(影山飛雄)
「ねぇねぇツッキー!
女子なんだって!」
「は?なんの事?」
「俺達のクラスの謎の空席の主!」
朝練上がりの部室
山口と月島が何やら盛り上がってる
「男でも女でも関係ないでショ
特進クラスで数ヶ月の遅れオツとでも
声かけるつもり?」
「超可愛い子かも知れないじゃん」
どうやら数ヶ月遅れで
登校する女子が居るらしい
まぁ、俺にも関係ないけど。
「影山も気になるよな!
女子来たら嬉しいよなぁ!」
「??」
突然振られた話に目をまるめてると
「王様は女子より
自分の低空飛行過ぎる成績を
気にしたほうが良いンじゃない?」
安定の嫌味で
神経を逆撫でて来る月島
「王様って呼ぶな」
憮然とした俺
怯みもせず性格悪そうな笑みを浮かべて
「じゃあね、王様
行くよ、山口」
「待ってよ、ツッキー」
部室を去っていく
王様…か。
そう呼ばれる度に
古傷が痛む
気にしないようにしてても
思い出しては苦しくなる
苦々しい思い出…。