第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
中学でも
別にモテて無かったわけじゃないけど
【彼女】ってのは居なくて
"皆の及川さんだよ"なんて
言っては
岩ちゃんと姫凪に
冷ややかな目で見られてた
高校に上がっても
それは変わらなくて
バレー部模忙しいし
付き合うどうのこうのなんて
考える暇も無かった
大抵は
「おい!クソ川!
遅えぞ!」
「後五分以内に出て来なきゃ
今日のラーメンは
及川の奢りね~」
「おい、あんま急かすなって
慌てて怪我でもしたら
…って、ありゃりゃ
言わんこっちゃねぇよ…」
この三人と
『徹また頭ぶつけて…
注意力足んないんじゃない?』
姫凪とで行動してたしね
「うるさいな!
"大丈夫"って言葉が
何で出ないかな!?
及川さん可哀想!!」
『大丈夫でしょ
頭ぶつけたくらい』
「大袈裟なんだよクソ川」
最近伸び率が上がった身長のせいで
ぶつかる事が多くなった頭を
擦りながら
幼馴染コンビに文句言う俺