第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
マジでしくじった
生殺しが過ぎる…!
溜まっていくお風呂
甘く立つ湯気
「はい、どーぞ」
『じゃあ、お言葉に甘えて…』
「ごゆっくり~」
シャワーの音と
『うぅ…!痛い~…!!』
泣きべそに紛れる声
こんなに近くで
好きな子が
裸でお風呂で
密室で二人きりなのに
「トオルクン…
キミはお呼びでないんだってさ」
ひたすら我慢しかない現実
ガチガチに期待した
及川さんチのトオルくんを
お風呂場を気にしつつ慰めた
数十分後
『徹~コレ着ても良いの?
今服来たら血で汚れそう…』
バスルームから顔を出す
姫凪の手には
ホテルのバスローブ
「あぁ、良いよ
手当てもし易いし…って
ちょい待……」
『はーい、待っててねー
スグ出るから』
二つ返事してしまったけど
ラブホテル(こういうトコロ)の
備え付けは総じて
『なんか…
ちょっと恥ずかしいかも
大きいけど丈は
そこまで長くないって言うか…』
男が萌える様に
脱がせ易い様に出来ていて
『ヘン、じゃない?』
準備整ってない子が着る仕様に
作られていないんだよ