第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
立ち上がり
【俺もキミなんな意識してない】的な
空気を無理やり捻り出す背中に
『お、お風呂!?』
ひっくり返った声
ヌグゥッッ!
何その声!可愛過ぎるから!!
今すぐ振り返って
押し倒したい
チューとか色々
しーちゃーいーたーいーー!
『お風呂って…ヤッパリ、その…』
あぁぁあ!ダメダメ!
我慢しなさいーー!
「そのまま動いたら
服も汚れるじゃん
お風呂場までは歩いて来れるでしょ
タオルとか出しといてあげるから
先に入りなよ」
必死に意識させない様に
"出る"とか"帰る"が
紡がれない様に
なるべくいつも通り
冷静に姫凪に話し掛ける
本当はメチャクチャ
ドキドキしてるし
背中に変な汗かいてて
俺の方がお風呂入れ状態なのは
どうかバレないで!
無駄に広いお風呂場
広々した浴槽に
お湯を溜めながら
「姫凪ー!
入浴剤入れる?
イチゴの香りとかあるよ?」
『じゃアそれデ!』
緊張バレバレの声が
更にムラムラする