第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
姫凪を抱き上げ
裏道に入ると
地味な路地に似つかわしくない
派手な入り口
『え?徹??!』
「て、手当て!するだけだよ!
変な想像しないでよ!
姫凪のスケベ!!」
『スケベは徹でしょ!
手当なら家で出来るでしょ
なんでわざわざ
こ、こんなトコ、ロ!!』
こんなトコロ
どんなトコロ?
「重い姫凪抱えて
家まで歩くとか
及川さんの体力持たないよ
深い意味はないから
大人しく攫われなよ」
『む、むり…』
「もう入ったし。
諦めるんだね、バーカバーカ」
『…死ぬ…!
嫁入り前なのに!』
「ラブホくらいで大袈裟な。
ほら、そこ座って?
消毒液とかバンドエイドとかは
頼めば貰えるから」
そう、こんなトコロ。
いわゆるラブホテルってヤツ。
『…慣れてる…?』
「…別に?
そうでもないよ
此処に書いてるじゃん
救急箱の貸し出しもアリって」
ホントに慣れてるわけじゃない
使った事ないとは言わないけど
慣れるほどは使ってないし。