第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
俺が妄想してる間に
爽やかクンは去っていて
怪訝な顔をした姫凪と俺だけが
賑やかな街に残されてた
「姫凪…あの
烏野の爽やか…菅原クンとは
どんな関係?
なんかヤケに仲良さそ…」
『徹!信号変わるよ!
早く、走って!!』
信号なんかどうでも良い!
俺はキミと爽やかクンとの
関係を知りたいの!
「姫凪、待ちなって
走ったら…」
"転ける"と言い終わらないうちに
姫凪の身体は
地面に抱き締められ
"ギャッ"と短い悲鳴が街に響いた
「言わんこっちゃない…
うわ、アチコチ擦りむいてるじゃん
受け身ヘタかよ
大丈夫?立てる??」
『…無理…どこが痛いかわからない
立てない…痛いよぉ…』
泣きべそかいて
俺を見上げる姫凪に
邪な気持ちがムクムクして来るとか
ダメなヤツだと思いつつも
「…手当てしてあげるから
チョット我慢しなね?」
ずっと抑えてた衝動は
少しずつ制御装置が壊れていく