第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
『うそつくなー!
降りて!早く直さないと!
学校遅れる!
徹も部活遅れる!』
「ハイハーイ煩いなー
騒ぐ暇があったら
もっと暴れて
俺を押し返しなよね!
ほら、及川さんの超絶テクニックで
チョンチョコリンの前髪くらい
すぐセットしてあげるからさ」
ケラケラ笑って
姫凪を引き起こし
鏡の前に座らせる
『できるの?徹が?』
「及川さんに
出来ないことはないんだよ
ほら、ジッとしてなよ」
前髪にクシを通すと
切り過ぎた前髪が
ピンピンと微妙なハネ方をしてて
出たくないって言うのも
分からなくないなって思う
けど、ね
『朝シャンする時間無くて…
ね?変でしょ…
美容院代ケチるんじゃなかった…』
そんな顔する程
変じゃないよ
俺にはどんなキミも
可愛く見えて仕方ないんだからさ
…なんて、言えないけど。
「大丈夫だって
ピン借りるよ?
あ、コレ良いじゃん
可愛いの持ってるね
いつ買ったのさ」