第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
瞳(ソコ)は俺だけの場所
逸らさないで下さいよ
俺をもっと映してて欲しい
開いても閉じても
消えない様に…なんて
重いんじゃないかって
不安になったりもした
そんな不安を一人で
拭おうなんて
無理だった事を
貴女は教えてくれた
例えこの目が
見えなくなっても
暗闇に迷い込んで
右も左も分からなくなっても
ずっと瞳の中(ソコ)は
俺の場所だと。
身体で心で
全てで俺に伝えてくれた
リードされっぱなしで
教わりっぱなしは
男としてもキマリが悪い
なのでこれから
ユックリ巻き返す事にしましょうか。
リードする為に?
まさか。
同じ歩幅で歩くために
前でも後ろでない
隣をずっと歩く為に。
俺の瞳が
貴女の瞳が
ずっとお互いを映せる距離に
心がずっと寄り添える距離に
これからも
ずっとずっと居られる様に
同じドアから出て
同じドアに帰り
手を繋いで眠る毎日が
終わりを迎えてしまわぬように
瞳を閉じても
夢の中でも
互いを想い出せる
そんな二人が続く様に…。