第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「帰ったら今我慢した分も
倍付けで返しますから
頑張って来てくださいね?
未来の嫁がコンテストで
入賞するの楽しみにしてます
メイク直し手伝いますから
ほら、早く鏡の前へ」
指輪が光る手を繋ぎ
鏡の前で姫凪さんに
指示されながら
メイク直しのお手伝い
「んー…出版社も良いけど
スタイリストも楽しそうですね
姫凪さんの助手なら
ずっと一緒に居られますし…」
髪の毛が整って行く様を見ながら
ポツリと呟くと
『それはダメ。
女子の多い世界に
こんなイイ男を誘い込めません』
スンとした顔を鏡越しに見せ
『私だけのスタイリストで
居てください
これからもずっと
私しか見ないで
…なんちゃって!』
キラキラした笑顔で振り返り
チュッとリップ音を立てる
「…不意打ち、は卑怯…デス」
『へへっ!さっきのお返し!
まだ足りてないけど
続きは帰ってから
シッカリガッツリね!
京治大変だよ?
入賞のお祝いでしょー
さっきの続きでしょー
それに私からの仕返しで
…今日も眠れないねー?』