第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
コンテストが終わるまで
待とうか、とか
卒業まで待とうか、とか
色々考えたけど
「俺には貴女しか居ません
頭の中も瞳の中も心の中も
貴女でイッパイで居ます
だから…これからも
宜しくお願いします
赤葦 姫凪として」
俺の全てが
貴女を欲して止まらなかった
この指輪をはめて
挑んで欲しかった
夢を掴む
その場所へ。
白い薬指に指輪を通すと
いつか送った
ピンキーリングと
擦れた音が微かに響く
「返事を聞いても?」
『…う、ん…
チョット待ってね
頭も心もイッパイイッパイで
言葉が追いついてこない…』
化粧を崩さない様に必死に
涙をまつげの手前で堪える姫凪さんを
「…大丈夫、伝わりました
チャント此処に届きましたよ
ありがとう、姫凪さん」
優しく引き寄せ
胸におさめると
『化粧…崩れたら大変なのに…
もっと余韻に…浸りたい、の、に!』
俺の胸元を濡らしながら
オデコを擦りつけてくる