第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
いつも話してる事と大差ない
本当の本命はこっちじゃない
なのになんで
手紙に集中させたかと言うと…。
『嬉しい…
いつもの言葉も文字になると
なんか違うね』
「そうですね
じゃあ、御守り作戦最後の仕上げと
行きましょうか
姫凪さん…顔をあげて」
"なに?"と上げた顔の前に
差し出す小さな小箱
『…え?えっと…もしかして…』
それをユックリ開くと
「もしかしなくても、ですよ」
姫凪さんの誕生石をあしらった
シンプルな指輪が光る
『これは…その…』
「はい、給料の3ヶ月分…には
少し足りないけどね
それはこれから必死で稼ぎますんで」
『稼ぐ?って…』
「内定貰いました
例の出版社。
春からは俺も新社会人です
まだ全然安定なんかしてないし
出世するかも分からないですが
…一緒に幸せになりたいのは
貴女だけなので
結婚して下さい」
ありきたりなプロポーズ
しかもコンテスト当日の
忙しい朝に。