第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
熱いな、ヤバいな…と
頭の奥で感じた時には
既に手遅れで
身体が動いてくれそうにない
朦朧とする意識で
リビングにコールを送る
呼び出しボタンに手を伸ばそうとした
その時
「姫凪さん!
大丈夫ですか?
シッカリしてください!」
お風呂場に響く京治の声
抱き上げられて
身体は一気に冷えるけど
『…ごめん…京治…』
身体はまともに動きそうにない
目はグルグル回ってるし
声を出すのも気持ちが悪い
「湯船で寝ちゃう程
疲れてたなら言わないと…
お水持って来ますから
少しこのまま待てますか?」
背中を壁に預けられ
優しく身体の水滴が拭われて行く
「姫凪さん
辛かったらタオル敷きますから
横になりますか?」
甘い声と優しい手付きは
いつもの京治と変わらない
変わらないからこそ
あのメモの存在は
私の頭で処理出来ずに
首を締められるみたいに
苦しくて仕方ない
ねぇ、なんで?
なんで…あんなモノ
取っておいたの?
連絡取りたいほどの何かが
その人にあったの?