第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
笑って脱衣所から出ていく京治は
いつも通りなのに
私はいつも通りから
ドンドン離れていく
もしかして洗濯回して証拠隠滅?!
…なんてね。
あるわけないじゃない
あるわけない…のに
疑ってしまう
一番考えちゃ駄目な事…なのに
頭がイッパイになっちゃうよ
駄目だシャワーじゃ全然リセット出来ない
熱いシャワーで身を清め
ザブンッと湯船に沈む
京治の好きな熱めのお湯が
肌に噛み付いて
ヒリヒリする
それ以上にヒリヒリ、ズキズキする
私の心臓
『疑うなんてバカみたい…
分かってるのに…
全然消化されないよ…
このままじゃ笑えない…』
熱いお湯にこのヤキモチも
モヤモヤも溶け出して欲しいとか
バカな事を考えて
半身浴の時に使う
お風呂のフタをバスタブに被せる
熱気に包まれる身体
隙間から上がって来る熱々の湯気で
頭がボーッとしてる
このまま余計なことを
考えなくなれればいい…のに
更に追い焚きして
釜茹での刑みたくなってるのに
全然抜けて行ってくれない猜疑心