第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
なんだろ?
大事なメモなら出しとかなきゃ
洗っちゃってからじゃ遅いのに、とか
彼女っていうより奥さんみたい!と
笑いで頬を緩めながら拾い上げ
何気なく広げて中を見る、と
そこには
『なに、これ…』
綺麗な文字で書かれた
名前と電話番号とLINEのID
そして
"次会えるの楽しみにしてる♡"
意味深なメッセージ
どういう事?
名前からして女子だよね
服は毎日変えてるし
洗濯もしてるから
いつかの誰かのを
捨て忘れてたってわけじゃない
今日、貰ったんだよね
それを大事に持ってたの?
それをする理由って、ナニ?
シャワーの向こうの京治に
聞きたいけど…
声が出ない
昼間のヤキモチ…とは
少し違う
もっともっとドロドロした
お腹の奥まで気持ち悪い
そんな感じ…
グシャリとメモを握り潰して
バスタオルを置いて
キッチンに戻り
生ゴミ専用の蓋付きゴミ箱に
投げ捨て
『…意味分かんない
なんで捨ててないの?
次ってなに?
…この気持ち、なに?』
バンッと手をまな板に打ち付ける