第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
家に着いてからも
キッチンで二人
野菜をあらったり切ったり
お湯張り終了の音が
やたら早く聞こえた
「…やっぱり一緒に入りません?」
『だーめ!
せっかくだもん
お風呂あがり豪華な夕食にしようよ』
ヤキモチを妬いてた今の状態で
スイッチ入ったら
絶対止まらない
京治もだけど
何より私が!
あのキャピキャピ女子大生を
上書きしたいし
上書きしたらしたで
独占欲と劣情が混ざって
食欲なんか吹き飛ぶ気しかしないんだもん
「…はいはい。
長い夜の為に
イッパイ食べましょうね?
じゃあ、お先に」
私の気持ちを察したのか
京治がクスリと笑みを零し
私にキスを落として
バスルームに消えて行く
バレバレか!とか
テンション高めに自分でツッコんで
料理の続きをする
あらかた終わった所で
バスタオルが脱衣場に
補充されて無かった事に気付く
干しっぱなしだったタオルを
慌てて取り込み
バスルームに運び
京治に声を掛けようとした
その時
京治の脱いだズボンのポケットから
覗く紙の存在に気が付いてしまった