第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「話出来へんくらい
切羽詰まってんのか?
顔色も悪いし…
ちょっと待っとき
婆ちゃんが作ってくれた
梅干しのオニギリあるから
分けたるわ」
『え?梅干し?
いや、大丈夫…
それより何処かで会ったこと…』
「食うとき
人は腹減っとると
無駄にイライラして
余計な事にまで神経尖らせてもて
肝心な所でミスすんねん
ちゃんと食うて落ち着き
ほら、器はいつでもエエ
この大学で北って名字は確か俺だけやから」
鉄朗や光太郎に比べたら
そこまで大きいわけではないし
顔も幼い感じで
怖いわけではないのに
『…ありがとう…デス』
「そない怖がらんでもええよ
ほなな。
もう走ったらアカンで」
オーラが凄くて
反抗も出来ず
図々しくも
オニギリまで貰ってしまった
とりあえず大学を出て
近くの公園で
オニギリに口を付ける…と
『…おいしっ!
なにこれ!メチャクチャ美味しい!』
優しく美味しい味に
一気にお腹におさめてしまった
お腹が膨れると
少し落ち着いてくると
さっきまでピリピリしてたの気持ちが
穏やかになっていく