第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
京治は何もオカシナ事は言ってない
イキナリ私が大学に来てて焦るのは
普通に考えたら当然で
モヤモヤする事なんかないはずなのに
『昼休憩早く貰えた…
ご飯買いに出た所で
たまたま治くんと会って…
コッソリ中に入れてくれるって
言うから…差し入れ持って来たんだけど…
お邪魔だったみたいね。
楽しそうじゃない
……治くんにあげる
私、戻るから』
嫌味が口から溢れてしまう
"何してるの?浮気?!"なんて…。
茶化してしまえば
笑い話で済んでたのにね
買って来たスイーツを
治くんに押し付けて
学食から思いっ切りダッシュして
走り去ってしまった
広いキャンパスを
走る姿は悪目立ちして
すれ違う人は皆
変な目で見る
余計に浮いてた自分を実感して
泣きそうになる私を
「こら、危ないやろ走んな」
冷静過ぎる声が引き止めた
『あ、すいません…?』
「何急いでるか知らんけど
そんな思い詰めた顔して走っとったら
いつ誰にぶつかってもオカシないやろ
…って、どないしたんや?
泣きそうやんか」
振り返った先には
確か何処かで見た事がある…