第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
それでも浮かんでしまう邪推
「ツムくんの所行くって
言ってないじゃーん
ね?赤葦くん!
好きな献立とかある?
結構ガチ目に作りに行きたいって
おもってるんだけどなー…」
その子に"彼女いる"って
言いたくない【ナニカ】があるの?
…そんなわけないよね
そんなわけないのに…
モヤモヤはドンドン濃くなって
胸が苦しくなっちゃうよ
声を掛ける事も
背を向ける事も出来ない私を見て
「…俺、やらかしたか?」
申し訳なさそうに口を開く治くんを
「治?お前今日は
学食やのーて
外に飯買いに行くって
言うてなかったか?
…って、お前…タイミング…」
侑くんが振り返る
「すまん、侑」
「いや、俺より…」
気まずそうな二人をスルーして
『これ、どういう事?』
背中を向けたままの京治に
声を掛けた
「は、ぃ?」
振り返った京治の顔は
一気に青くなって
「え!?なんで…!?」
声が詰まる
『居ちゃイケない?』
「え?そんなわけない…
でも、イキナリだから…」