第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
[一緒に寝たい]
[もう遅いよ(笑)]
[そうですね(笑)]
嘘くさい"カッコワライ"に
溢れる涙
なんでですか?
どこに居るんですか?
嘘をついてまで
帰りたく場所は
どこなんですか??
暗い部屋を後にして
歩いて来た道を
倍くらいかけて自分の部屋に戻る
眠いのに眠れない
悪い夢しか見れらなさそうで
悪い夢だったって
笑えない朝が早く来すぎる気がして
ソファーに背を預けて
鳴らない携帯を眺める事、数時間
[赤葦ー!起きてるか?]
手の中で画面が光る
「黒尾さん?こんな時間に珍しいな」
[起きてますけど、何ですか?]
返したメッセージに既読がつくと同時に
鳴った電話
応答するやいなや
〈赤葦!木兎のバカと一緒か!?〉
黒尾さんの声が響く
「いつも一緒なわけじゃありませんよ
なにかあったんですか?」
〈昼くらいから連絡つかねぇんだよ!
この前、ドライブ行くとかで
車貸したんだよ。
それを返しに来るって行ってたのに
いつまで経っても来ねぇし
電話も出ねぇし!〉
イライラした黒尾さんの声が
不眠で回らない頭を揺らす