第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「あ…」
「あぁ!どうも!
赤葦くんだったよね?
家この辺?」
「…そちらこそ」
「え?うん!
俺の行き付けのスーパー!」
前言撤回やっぱり一人で良かった。
俺の前に並んでたのは
「今日は一人?」
アキラさん
「まぁ、そうですね」
ボヤリとしてた顔は
スーパーの照明のせいか
やたらクッキリ俺の頭の中に
蘇ってしまう
あの後何かあったわけじゃない
敵意剥き出しにする必要もないのに
「…そっか!
姫凪ちゃんは元気?」
「おかげさまで」
大人げない態度を取ってしまう
「あぁ…じゃあお先に」
先に会計を済ませ
俺に会釈だけして
レジから遠ざかるアキラさん
悪い人でないのは分かってるのに、と
少し罪悪感が生まれるも
馴れ合う気になれないのは
やはりあの夜刺さった棘が
抜けてないから、だろうか
それとも…
「赤葦くん」
「なにか?」
本能がこの人を危険だと
俺に警鐘を鳴らしているからだろうか