第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
店員さんの声に
姫凪さんがよく
ハンドクリームを塗ってる姿を思い出し
お土産にはちょうど良いと
声のした方へ足を進めて
「『え?』」
一瞬止まる時。
『京治?!どうしたの?
一人?!』
「姫凪さんこそ…なんで?
仕事中じゃ…」
もしかして仕事中に
気分でも悪くなって
早退させられたのか?
昨日は結局
ユックリ眠れたわけじゃなかったし…
ソワソワしてる俺に気付いたのか
『ただの休憩!
時間余ったから来ただけ!』
違うと手をパタパタ振る姫凪さん
「そうですか?
なら良いですけど…
顔色あんまり良くないですよ?」
その手を握って擦ると
シットリ潤って
ツルツルした肌
いつものハンドクリームは効くらしい
「相変わらず白いですね
雪みたいだ…」
ここが店の中じゃなかったら
抱き締めてるのに…と
偶然の出逢いにも溢れる欲を
『こらこら悪い顔してるよ?
大丈夫だってば
チャント寝たし
ご飯も食べたしね』
アッサリ見抜いて笑う顔に
更に高まる欲求
このまま別れるのは
嫌ですよね、単純に。