第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
「大丈夫ですよ。
とにかくそっち向かいますから」
サッサと纏めて電話を切って
「落ち着けよ、俺のバカ…
子供じゃないんだから…」
早過ぎる後悔を噛み締める
「あかーし?なにしとん?」
「ナンデモナイ。
お会計は?」
「ここは俺の奢りやて。
ハイ、木兎クンに渡した金」
ニコニコ笑う宮侑の好意を
素直に喜べないとか心が狭すぎる
「…ありがとう。
今度学食奢る」
深呼吸して
なんとか平常心を装い
返されたお金を財布に戻す
合流した木兎さんと宮治を引き連れ
少し冷たい夜の風の中
姫凪さんの店へ急いだ