第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
「大丈夫か?サクラ」
「…治くんこそ、大丈夫??」
「なん?」
「せ、せやから
いくら運動部やからって
私…重いし…あんな激しく…
って!なんもないっっ」
サクラが俺の二の腕に触れながら
ドンドン顔を赤くして
プイッと背ける
なんやろ?
誘ってんかな?
可愛い事してからに。
「…まだ大丈夫やって
分からせたろか?
サクラ…もっかいする?」
背けられた顔を振り向かせ
甘いキスを落とすと
トロリと融けた瞳が俺を捉えて
「もう、予鈴なるやん…」
顔とは言葉と裏腹な言葉を紡ぐ
「その顔されたら弱いなぁ…
もっと可愛くしたなるし
…サクラ、ちょっとだけ~」
甘えて胸元に戯れつく俺を
「私が甘えられるの弱いって知っててやろ
甘やかしたくて…堪らんくなるー…」
叱る事なく抱き締めて
髪を撫でるサクラ
ヤバい、ホンマにスイッチ入ってまいそう…
"このまま二人で"と出かかった声を止めたのは
「いつまでイチャついてンだよ
サッサと出て来ないと混ざるぞ」
「「角名(くん)!?」」
さっき離れて行ったはずの角名の声