第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
「違う。たまたま早く起きただけ。
双子も来てないし久々にノンビリする
だから手伝わない」
「なんやねん、それ。
ノンビリやったら家ですりゃエエのに…」
そうなんだよな
朝練もないのに
なーに来てんだろ。
「うっさい。
二度寝したら遅刻するタイプなんだよ」
「せやからって
学校来んでも…」
苦笑いするクラスメイトを無視して
窓から外を見ると
「え?サクラと…」
見覚えのある二つのシルエット
一人はサクラ
でも隣は
「なんで、侑?」
俺の知ってるアイツじゃない。
たまたま双子の片割れ同士が寝坊?
まさかね。
じゃあ、二人が意図的に…?
「角名くーん
今日の時間割覚えとるー?」
呑気なクラスメイトを無視して
二人が通りそうなルートに走るけど
姿がない
「はぁ?どこ行った?
部室…はナイか…
体育館裏か?」
思いあたる所を走っては
居ない二人に舌を打つ
なにやってんだよ、サクラ
お前が治に本気だから
何があっても揺れなかったから
俺は退いたのに
なんで今更、侑なわけ?