第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
その日は
なんかソワソワしてて
朝練もないのに
早く登校したり
始まりから、らしくなかったんだよな。
「なんや、角名
今日は朝練ないのに早いな
日直なんか?」
校門を抜けた所で
北さんに声をかけられて
若干焦る
日直なわけでも
真面目に自主練しに来たわけでもない
「あ…いや、なんとなく。
北さんこそ早いですね」
特に用事なんかないし
話を振り返すしかない
「なんとなくって何やねん
俺は日直や。
後、部室の掃除は毎日しとる」
北さんらしい答えに
"気が向いたら手伝います"と返し
二年の校舎へ
「…居るわけねぇか。
治も来てないみたいだし」
二年二組のクラスのドアは
まだ閉まったままで
日直すらまだ来る気配はない
朝のソワソワは
何かの間違いか、そう思って
自分のクラスに足を進めると
「なんや?角名くん!早いなぁ!
ウチ角名くんと日直やった?
なんやったら手伝ってくれても
ええんやで?」
うちのクラスの日直が日誌を書き込みながら
教室の中から手をひらひら振ってくる