第70章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋⑥(宮侑 治)
角名side
初めは単に好みだなって思った
双子って聞いて
目の保養二倍!なんて
笑った事もある。
姉妹を巡り荒れる
ウチのバレー部の双子を見る度
別に同じ顔なら
姉でも妹でもどっちでも良いんじゃね?って
思った事もある。
なのにいつからだろうね
見分け付かない程似てるはずの
アンタの顔を
遠くからでも見分けてしまう事に
気付いちゃったのは。
笑顔の奥の悲しさを
感じちゃったのは。
気付いたら
アンタだけ名前で
呼んでしまってたのは。
自分でも忘れる程
遠く昔から
好きだったんじゃって
思う様になったのは…
報われないと分かりきってたのに
案の定の結果に胸を痛めるとか
オカシイのかな?
痛みを隠して支えるなんて
アシストするなんて
泥臭いのは侑だけで
十分なのに
アンタにだけは
笑ってて欲しい
…なんて、やっぱり
らしくねぇよ
そう思うだろ?
"アホちゃう?"とかなんとか
呆れたように肩を揺らして
笑えよ、泣くよりは
いくらか気持ちも楽だろ?
あーぁ、こんな損な役回り
やってらんないけど
たまにはそれも
まぁ、いいや。