第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
それでも何とかギリギリ踏んばって
「って!暗いなー!私!
ちゃうで!別に泣きそうちゃうで!
風で砂飛んで来ただけやし!」
涙を落とすまいと笑う
寝不足なるまで悩んで
多分クタクタやのに
寝れんくらい泣いたのに
「ホンマええ女やな、サクラは」
強いな、サクラは。
俺も見習わなアカン
そんなん充分分かってる
「はぁ!?
なに、イキナリ!
侑くんこそ!チャント話さなアカンねんで!
姫凪ああ見えても一途やから
きっと私ら何か誤解してるんやろし!
でも…」
そや。
"でも"やねん。
「なんで…二人が
あぁなったんやろな。
なんで…なんも言うてくれへんねやろな
…私ら…なんなん…」
「おん、ホンマやな。
何でも聞くのにな
アイツが信じてくれ言うたら
俺…アホやから全部信じるのにな」
飲み込まれへん
笑われへん棘が
ズッとチクチク心臓を刺してきて
膿んだ傷口が
痛い痛いって叫んでる