第69章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋(宮侑 治)⑤
「サクラ…」
「もう、アカンで!
ホンマ立たれへんもん…!」
「抱っこして帰ったんのに…」
なーんて。
さすがに俺のオレもスッカラカンに近いし
飛ばし過ぎたし…
「ウソや。
サクラおいで?
後少し身体休めとき、な?
チャント送ったるから
安心して寝たらエエよ。
侑も元カノと遊んでるみたいやから
まだ帰って来ーへんやろ」
サクラに笑いかけて
腕枕に乗せた頭を撫でる
「ん、ありがと…」
フニャリと俺に笑い返して
静かに目を閉じるサクラに
キスを落として
俺も目瞑る
幸せで満たされてて
この先の不安なんか
なーんもないって思ってた
侑がアイツの香りを
纏ってくるまでは。