第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
グッと腹に力を込めて
電話に出ると
〈治くん?ごめん。
今、イケる?〉
サクラの声が耳に届く
「おん、大丈夫やで」
〈姫凪…は?
話…終わった…?〉
「…終わった。」
話だけやなくて色々と。
心の中でそう付け足し
痛む胸に苦笑い
すると…
〈会われへん…かな…
治くんに会いたいねん…〉
サクラの口から零れた声
「今からか?」
〈うん。
用件は会ってから話すし…アカン?〉
「…分かった。
そっち行こうか?」
逃げたらアカン。
俺はコイツを…好きになるんやから