第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
姫凪が去った部室
むさ苦しさしかない
その場所に甘い匂い
今度は紛れもなく
本物の姫凪の匂い
一回も泣いてくれへんかった
それどころか
無理して笑って
余計苦しめたかもしらん
「…これで良かったんかな…
姫凪…ゴメンな」
誰にも届かない声を
片付けをしながら
部室に響かせてると
俺のポケットで震える携帯
ディスプレイには
【サクラ】
「…なんのタイミングやねん」
話さなアカンのは
姫凪だけやないけど
さっきの今…って…
いや、これも俺がチャント
背負わなアカン事やんな?