第62章 互いの熱で甘く…(黒尾鉄朗)バレンタイン2019 完結
息が詰まる
水の底みたいだ
早く此処から
『鉄朗!?大丈夫!?
どうしたの!?』
「姫凪…ごめん…」
引き上げてくれ
開いたドア
見えた身体目掛けて
ダイブする様に突っ込んだ
『鉄朗!?
ずぶ濡れじゃない!
何してるの?!
風邪引いたらどうするの!』
「姫凪が居りゃスグ治る…
側に居て…どこも、行くな…」
必死にしがみついて
姫凪の身体に
俺の匂いを移す
姫凪の声が怖い
サヨナラなんて言われたらと
過る思考に強張った身体が
『どこにも行くわけないでしょ?
約束忘れたの?
一緒に歳をとろうって
言ったじゃん』
姫凪の声で解れて
「でも…最近
逢うの拒否ってましたァ…
今日も最初拒否ってたしさ…」
『そ、それは…
チョコレート…が…
失敗続きで…今この瞬間も
焦げてる…から』
「…チョコ?誰の?」
『鉄朗以外に渡していいの?
鉄朗に渡したかったの
ハジメテの手作りチョコ…』
また強張る
「…ほーぅ…
えっと…じゃあレポートっつーのは…」
コレってアレだ
絶望的に恥ずかしいヤツだよな?