第62章 互いの熱で甘く…(黒尾鉄朗)バレンタイン2019 完結
「ちょっと!雨だよ?
傘…」
「…濡れたい気分なんですぅ
そっちこそ風邪ひく前に帰りなさいね?」
激しくなる雨
傘なんかそこいらで手に入るのに
わざと濡れて歩いたのは
揺れそうになった
自分への罰
逢えねぇって言われたのに
行ったら怒られるかな…
嫌われたら笑えねぇけど
今逢えないのも
思いっきり笑えねぇんだ
ごめんな?
ずぶ濡れのまま
姫凪の部屋のドアを叩く
居ないなんてオチはナシにしてくれよ
今すぐ顔がみたい
今すぐアンタに
逢いたいんだ
ドアを叩きながら
何度も押すインターホン
『はーい!どちら様?』
中からは愛しい声
「俺…。
姫凪、開けて?」
なんて声だよ
震え過ぎ
寒さのせいなんかじゃない
『え…鉄朗?!
今日は駄目って…』
そう、姫凪の口からの拒絶が
怖くて仕方ねぇんだ
「…姫凪…
居なくなんないで…
逢いたい…んだ…」
情けねえなー…俺
本格的に切られるかもよ?
でもさ
『チョット…どうしたの?
えっと…分かった
少しだけ待って…』
「待てねぇ!姫凪!
早く…開けろよ…!」
もう限界なんだ
心臓が壊れそうに苦しいんだ